園長便り2023-11

「薩摩のおいも」

園長:中村貫太郎

先週は秋の遠足にご参加いただきありがとうございました。親子でサツマイモを収穫している姿はとても楽しそうでした。大きなおいもが出て来る度に歓声があがっていましたね。今年は昨年に比べて大きなものが多かったように思います。収穫の体験を通して、食物の大切さを知る機会となることを願っています。

さて、今回収穫したサツマイモは、遠足の○×クイズにもありましたが、アサガオの様な花を咲かせるヒルガオ科の植物です。中南米が原産地でコロンブスがスペインへ持ち帰り、ヨーロッパから中国を経て、日本には江戸時代に琉球王国から薩摩藩へと伝わり、そこで栽培されるようになったといわれています。飢饉の時でも収穫が見込める救荒作物として、栽培地が薩摩から関東へ拡がっていき、名前も「薩摩のお芋」→「さつまいも」として定着したそうです。連作も可能でどのような土壌でも栽培ができるため、第二次世界大戦中の食糧難の際には全国で栽培が奨励されました。

一聴すると良い所しか見つからないサツマイモですが、生育適温は20~30℃と高く、育成期間の積算温度が3000℃以上必要とされており、低温に弱いという弱点があります。つまり本来、北海道での栽培には向かない作物でした。ですが温暖化の影響もあり、北海道でもサツマイモが栽培できるような気候になってきたのだそうです。20年程前から道南の厚沢部町ではサツマイモの試験栽培が始まり、4年後には安定した収穫ができる様になったそうです。近年では寒冷地向けの品種も開発され、今では旭川でも栽培されるようになりました。

今年の北海道は30℃を越える真夏日が44日連続して観測され、観測史上最長となる暑い夏でした。暑さをしのぐのは大変でしたが、その分、サツマイモは大きく成長してくれました。食べ頃(収穫後2週間)になるまであと数日となりました。収穫したサツマイモが各家庭で美味しくいただけるよう願っています。