園長便り2023-18

「発想の転換」

園長 中村貫太郎

先日、幼稚園バスを置かせていただいている教会の駐車場で、バスが雪に埋まって出られなくなるというハプニングがありました。

埋まった場所の問題で、車で引っ張り出してもらう以外の方法がなかったため、羅牧師に車を準備してもらい、ロープを牽引フックに取付けようとしたところ、付けるためのU字型金具のボルトが片方だけ回らず抜けないという第2のハプニングが発生しました。どうにかしてボルトを回そうと工具を使って叩いたり、ボルトの穴に棒状のものを差し込みテコの原理を使って回そうとしたり色々と試みたのですが、まったく歯が立たず困ってしまいました。

他に何かボルトを回す方法はないかと考えながら、ふとロープを見ると「金具が外れる側のロープの通し方次第でどうにかなるのではないか?」という思いが頭の中に浮かびました。

“ボルトを回す”ことから“ロープを通す順序”へ思考を切り替えると、たいして時間もかからずに車とバスを連結させる方法が見えてきました。無事に牽引してもらう準備も整い、バスを雪の中から脱出させることができました。

今回のハプニングでは、バスを脱出させるためにロープを牽引フックに取付ける必要があったわけですが、私は金具のボルトを外さないと付けられないと強く思い込んでいたため、ボルトを回すことにばかりに固執し、勝手に選択肢を狭めていまいました。途中でロープの通し方へと発想の転換がなければ、新しく金具を買いに行くという、手間も時間もお金もかかる行動をとっていたことでしょう。

私たち大人はこのような固定観念にとらわれて、選択肢を狭めてしまうことがしばしばあるのではないでしょうか。子どもたちには固定観念にとらわれることなく、たくわえた知識を柔軟な発想で活用していける知性を育んでいってもらいたいものですね。