園長便り2024-02

「コンパス(方位磁石)」

園長:中村貫太郎
昨年の今頃は、札幌で観測史上最も早く桜が開花したことがニュースになっていましたが、今年は観測史上最も早い夏日を迎えたそうです。春を通り過ぎて夏になりました。園庭でも早々と半袖で活動している園児の姿がありました。ここまで暖かいと、気の向くままにドライブにでも行きたくなります。

ひと昔前では、気の向くままに出かける場合でもコンパスと地図は必需品でした。特に無計画なドライブであればあるほど、現在地を割り出すためにこの二つは重要でした。今ではスマートフォンがあれば、ナビアプリが音声で道順を教えてくれます。文字通りに気の向くままのドライブが可能となりました。ですがナビに頼りすぎると、なかなか道を覚えられないというデメリットがあるようです。地図を頼りに運転をする場合、まず、目的地を決めて道順や目印となるポイントをメモし、ある程度は覚えておきます。実際に走る時は、コンパスで進むべき方向を確認し、目印や案内標識で現在地を割り出しながら進みます。ナビの音声を受け身で聞くだけとは違い、自分が地図で調べたことと現実がつながるため、道も覚えやすくなるのだそうです。

教育においても同じ事が起こります。自分では何も準備をせず、案内されるがまま受け身で話を聞く学びは、自分の体験として記憶に残らず生活に応用されることは滅多にありません。反対に自分で学びたい事を選び、調査し発見しながら答えを見つけようとする能動的な学びは、自分の体験として現実とつながって記憶に残るため、生活にも応用されやすいのだそうです。

三育教育においては、自分で選ぶ際に進むべき方向を示すコンパスとして、聖書の言葉を基準にしています。「だから、人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」と園訓になっている聖句は、自分中心の自己愛を選択の判断基準にするのではなく、他者への愛を基準とするよう勧めています。自分さえ良ければいいという思考ではなく、お互いに助け合う思考を育てていきたいですね。