「奇跡の生還から思うこと」
園長:中村貫太郎
先月、アマゾンの密林に小型飛行機が墜落し、行方不明になっていた4人の子ども(13歳の長女、9歳、4歳、12ヶ月の赤子)が40日間生き延び、無事に救出されたというニュースを聞いて耳を疑いました。
飛行機が墜落して4人が生きていたということだけでも奇跡的ですが、救助されるまでの間の行動も驚きでした。最初の頃は機内に積んであったキャッサバ粉(タピオカの原料)を食べて飢えをしのいだそうです。食料が少なくなってくると、武装集団や野生動物が潜むジャングルからの脱出するため、食べられる木の実や昆虫で飢えをしのぎながら場所を移動していったそうです。更に昼夜の気温差が大きいジャングルで生き延びるため、暑さや寒さ、また雨風をしのぐためのシェルターを枝や葉を使って作り、身を守っていたということでした。
アマゾンを探検した経験を持つ医師の関野吉晴さんは、4人がアマゾンの先住民である、ウイトト族だったということが生き延びることができた最大の理由だと語っていました。ウイトト族は日常の手伝いを通して、ジャングルという自分たちが暮らす世界で生きる術を教え込まれ、10歳になる頃には独り立ちできるのだそうです。
救出活動を手伝ったウイトト族の男性も「そのような知識は家で教わるのです。3、4、5歳ごろからです。子どもたちに代々伝えるのです。10歳ごろまでには、もう完全にそういう知識を身に付けています。私たちの文化や経験は決して失われることはない。世代から世代へと代々、受け継がれていくのです。」と語っていました。
このような知識や経験や技術を伝承していくということは、親の言葉や教えに従順だからこそ可能となります。聖書にも「子供たち、主に結ばれている者として両親に従いなさい。それは正しいことです。『父と母を敬いなさい。』これは約束を伴う最初の掟です。」と書かれているように、従順であることは子育てにおいても最初の重要なポイントです。
決して親のいいなりになる子どもにしなさいということではありません。力ずくで従わせるのでもなく、ご機嫌を取って従わせるのでもありません。子どもが素直に親の言葉に従おうと思える信頼関係を作っていくことが大切です。