園長便り2022-12

「連携と接続」

園長:中村貫太郎

 

先日、北区の園長会で平岡公園小学校の校長先生の講演を聴く機会がありました。内容は「子どもの学びを支える連携と接続」についてのお話でした。

近年、幼稚園や保育園から小学校へ上がる際の問題として「小1プロブレム」があります。これはそれまでの環境とは違う小学校での生活や雰囲気になかなか馴染めず、落ち着かない状態が続くことをいいます。授業中に複数の子どもが教室を歩き回ったり、指示通りに行動ができなかったりするため正常に授業を進行することができず、学級崩壊につながる事もあるようです。

この問題を解決するために、文部科学省も「幼保小の架け橋プログラム」を実施し、小学校との「連携と接続」を推進しています。ですが課題は多く、なかなか進んでいないのが現状のようです。それでも札幌市は全国の各市町村に比べると、以前から幼保小連携推進協議会(本園も参加しています)が区毎に開かれるなど、だいぶ進んでいるということでした。

「連携と接続」が必要なのは、幼児期の教育と小学校の教育方法に違いがあるためです。幼稚園では園庭や砂場など環境の中で自発的に活動して学びます。園庭をながめて「今日は何をして遊ぼうかな?」と考えて遊びを展開するのはまさに自発的な活動です。このような活動を通して主に非認知能力の育成をおこなっていきます。この能力は数値化できませんが生きていくために必要な能力で、具体的には「自己肯定感」「自己管理能力」「創造性」「共感性」「協調性」「公共性」「道徳心」「規範意識」「コミュニケーション力」等があげられます。成長の土台となる力です。

小学校では教科書を使い、各教科を時間割に沿って学ぶ事になります。環境も系統的に学ぶ為の学習環境となり、点数などで数値化される認知能力の育成が主になります。成長の土台となる力が、ある程度身についていることが前提になっています。また、大きな違いとして「評定」があります。どんなに頑張って勉強しても答えを間違えたらバツが付きます。小学一年生でもその「間違えること」に抵抗がある子どもがけっこういるということでした。

いずれも自立して生きていく力を身につけるための学びですが、内容や方法は全く違います。このような違いがあるとうということは、その違いに戸惑う子どもがいるということになります。幼保小で共通の視点を持ち、この違いを小さくしていくために「連携と接続」が必要とされています。

早いものであと半年で年長児は小学生ですね。今月と来月に予定している三育小学校との交流会が、小学校就学に向けての良き準備となるよう願っています。