園長便り2021-15

「怒りをおそくする者」

園長:中村貫太郎

お店で買い物をしている時に、大声で泣き叫び続けたり、地団駄を踏んだり、親を叩いたり引っ張ったりしている幼児の姿を見ることがあります。皆さんも一度は見たことがあるのではないでしょうか。特におもちゃコーナーや、お菓子コーナでよくある光景だと思いますが、これは子どもが怒りの感情をコントロールできないために起こります。

人の感情は「喜怒哀楽」という四文字で表現されることが多いですが、心理学的にはもっと沢山の感情があるといわれています。また、第1次感情と第2次感情に分類され、怒りは「寂しい」「悲しい」「辛い」「痛い」「心配」「不安」「怖い」「苦しい」「恥ずかしい」「嫌い」などの第1次感情が心のタンクにたくさんたまり、あふれ出た時に生じる第2次感情だそうです。

マイナスな気持ちが心のタンクの中で混ざり合い、自分でもよく分からない感情は伝えようにも上手に伝える事ができません。「相手に理解してもらえない」ということなどをきっかけにして、怒りという感情は生じるようです。とくに幼児は語彙が少なく、上手に伝えられない場合が多いため、先程のお店での光景が繰り広げられることになります。

怒りの感情をコントロールする上で大切なポイントは、子どもが1番分かって欲しいと思っている第1次感情を見つけて言語化することだそうです。子どもが伝えられなかった気持ちを言葉にしてあげることで、自分の気持ちを受け止めてもらえたという安心感や満足感を得ることができるのだそうです。そしてその感情をどう受け止めると気持ちが楽になるかを考えることで、子どもは怒りをコントロールする方法を学んでいきます。問題行動にだけ目を向けて反射的に叱りつけたり、逆に見ないふりをして無視をするのではなく、時間はかかりますが心に目を向けて対話していくことが大切です。

 

聖書の言葉

「怒りをおそくする者は勇士にまさり、自分の心を治める者は城を攻め取る者にまさる」

箴言16章32節(口語訳聖書)