園長便り2018-20

大切な「感覚・感性」を育てる

園長:平田泰三

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先日の作品展ご来場有難うございました。作品展は「どんぐり」がモチーフでした。作品展が終わってからも、園では秋に美香保公園で拾って来た「どんぐり」を使った遊びに、子どもたちは目を輝かせていました。どんぐりの実ひとつですが、それは実際の「自然」のものです。

前回、自然に触れることの大切さをお伝えしました。現代は、バーチャル(仮想現実)な時代です。またテレビドラマに感動することがありますが「フィクション(虚構)」の世界です。それらは、確かにすばらしい映像技術ではありますが、残念ながら「現実」ではありません。一方、自然は「現実」であり「仮想」ではありません。

バーチャルな時代にこそ、努めて自然に触れる必要を感じます。人が自然に触れるとき「現実」の厳しさに直面します。また自然を前に人は「謙虚」になれます。自然に触れるとき人の五感(聞く・見る・触る・におう・味わう)が鍛えられます。人間の器官(目・耳・手・鼻・口)が総動員されます。この「感じる」感覚はとても大切です。

自然に触れると人は「気持ちよさ」を感覚的に感じています。自然は神様の「作品」と捉えています。「作品」は「作者」を物語ります。聖書の神様は直接は目には見えない方ですが、自然を通してわたしたちが「感じる」ことができるようにしてくださっています。何かを通して「感じるこころ」はやがて、「人の痛みを感じる」ことにつながると思います。この世の中が「人の痛みを感じられない」ことで辛い思いをしている人が多いのではないでしょうか。特に「人の痛み」を感じる感覚は大切です。聖書は、イエス様というかたが「十字架にかけられた」それは「愛」であったと説きます。十字架には大きな「痛み」が伴ったのです。聖書の神様は「痛み」を理解してくださる方です。他者の「こころの痛み」がわかる、その感覚を「愛」と表現できるのではないでしょうか。人が「愛を感じる」感覚を「十字架」を通して回復できればと思います。