園長便り

感動がもたらすもの

園長:村沢秀和

アインシュタインは、「感動していないのは生きていないことと同じである」と言いました。また、ホーキンスは「無感動は希望を失った状態である。その犠牲者は物質的にだけでなく、あらゆることに貧困状態で、生きるエネルギーにも欠けてしまう」と言っています。2人の世界的な物理学の権威が共に感動について語っており、それは人間にとって生きるエネルギーであり、感動がなければ希望もなく、生きていないのと同じであるとさえ言っています。このアインシュタインもホーキンスも、いつも宇宙の神秘に触れ、感動し、その感動が、宇宙の神秘の一部でも解き明かしたいという情熱を駆り立てたのでしょう。

皆さんは、驚きや感動がありますか?人間は、今まで触れたことがないことに触れたり、経験したことのないことを経験したりすると、そこに感動が生まれたり、驚きが生まれたりします。しかし、人生経験を重ねてくると、ちょっとしたことでは感動しない、驚かなくなってくるものです。それに比べて子どもはどうでしょう。ほんの少しのことでも、目をまんまるにして驚きを表します。まだ、世の中にあるものが経験したことのないことばかりだからです。ちょっと大げさに感じるような驚きであっても子どもは純粋に驚き、感動しているのです。そして、そのような驚きと感動がエネルギーとなって、豊かに成長していけるのです。だから、たくさんの驚きを経験させてあげたいし、たくさんの感動を与えてあげたいと思います。その驚きと感動が将来を決めることだってあり得るのです。

ところで、なぜ感動することが生きるエネルギーとなるのでしょうか。遺伝子学の権威として有名な村上和男・筑波大学名誉教授は、「人間は膨大な量の遺伝子のわずか5%しか活用されておらず、残り95%は活用されないで眠らせたままである。しかし、その眠らせている95%の遺伝子を活用させるスイッチがある。それは感動です」と述べています。遺伝子学的に人間をみたときに、感動することが眠らせている遺伝子を活発にさせるというわけです。遺伝子は人間が生きるための源です。だから、それが活発に働くとき、人間はもっといきいきと生きることができるのです。さて、あなたは日々感動しているでしょうか。人間には感動や驚きの体験がいつまでも大切です。子どもを感動させてあげるだけでなく、大人も一緒に感動できるような体験ができると良いですね。