園長便り

 天使の喜び

園長:村沢秀和

 牧師として働いていると、いろいろな方との出会いがあります。そして不思議なお話を聞くことがあります。今回はそのような出会いの中から、驚くべき体験をした、あるおばあさんのお話をご紹介しましょう。

関節炎のために体が不自由な一人のおばあさんが教会に通っていました。何年も続く痛みのために、おばあさんは生きていく喜びが見いだせなくなっていました。家の中の小さな仕事も苦痛でした。そしてますます落ち込んでいくのでした。神様に一生懸命にお祈りもしましたが、一向に良くならず、むしろ悪くなる一方でした。ある日、おばあさんは教会でどんなことにも感謝することによって神様から大きな力が与えられるという話を聞きました。そのように考えたことがなかったので、びっくりしました。でも、教会で教わったとおり実行してみようと決心します。おばあさんは、この関節炎の痛みを含めて、自分の生活のあらゆる事を心から神様に感謝しようと務めました。

そんなあるときのことでした。お盆の上に食べ物をのせて台所をそろそろと歩いていると、そのお盆を落としてしまい、お盆の上のものがすべて床一面に散らばってしまったのです。背中には痛みが走るし、指はこわばっているので、かがんでそれらを拾い上げることすらできません。今までだったら、ものを落とした時、自らのあわれな身の上に涙を流していたことでしょう。しかしこの時はそうではありませんでした。神に感謝し、賛美するという約束を思い出し、「主よ、ありがとうございます。床の上にみんな落としてしまいましたが、主よ感謝いたします。これをわたしの益になるようにしてくださることを信じます」と祈ったのです。その瞬間でした。彼女は不思議な経験をしたのです。台所に自分の他にだれかがいることに気づいたのです。ふりむくと、なんと驚いたことに彼女は天使たちに囲まれていたのです。その天使たちは微笑み、喜んでいました。突如、彼女はその天使たちの喜びは自分のためであることを悟るのです。そして、キリストの言葉を思いだしたのです。「一人の罪人が悔い改めれば、神の天使たちの間に喜びがある」(ルカ15章10節)とキリストが語っておられたことを。

彼女は病にかかり、その苦しみのゆえに、長年自己憐憫にひたり、自分の苦しみを神様は黙って見過ごしておられるのかと神様に対して不平をいっていました。癒しを求めてはいましたが、心の中では神様が自分をこんなにみじめにされたのだと思っていました。しかし、自分のつぶやきが不信仰から来ていたことを悟らされたのです。そして、お盆をひっくりかえした事を神様に感謝し、賛美し、主に信頼した時、天使たちの間に喜びが満ち溢れていたのがわかったのです。

彼女は台所の真ん中に立ち、部屋中に満ち溢れた天の喜びの中にいるのを感じました。彼女は、今までの苦しみを神様が黙認されていたことも心から喜びをもって感謝することができました。そしてその夜、なんと彼女は癒やされたのです。苦痛はなくなり、まがっていた関節はまっすぐになったのでした。