園長便り

小さな光

園長:村沢秀和

ゆり組の園児たちとお泊り会にいったときのことです。夜、蛍を見に行きました。昨年行った時は、たくさんの蛍が飛んでいたので、今年も楽しみにしていました。ところが、蛍が生息している場所に行ってみると、一匹も飛んでいないのです。暗闇の中でしばらくじっと待っていたのですが、それでも蛍は出てきません。宿泊施設のスタッフの方から、今年は蛍のえさになる虫が少なくて、蛍がいないかもしれないという話を聞いてはいたのですが、本当にその通りになってしまいました。わたしは子どもたちがせっかく楽しみにしていた蛍を見ることができないなんてかわいそうだと、心の中で神様に「どうか蛍を見せてあげてください」と祈りました。そして再び暗闇のほうに視線を向けると、光ったのです。小さな小さな光が光ったのです。そして、すっとわたしのほうに向かって飛んでくるではありませんか!「蛍だ!神様ありがとう」と心の中で叫びつつ、子どもたちを呼びました。子どもたちもみんなその宙に漂う小さな光を見つけて大喜びです。そしてその小さな光はしばらく子どもたちのまわりを飛びながら、やがてすうっと空高く飛び上がりました。そしてまるで夜空に輝く星のひとつのようになって消えていったのでした。

帰りの道々、「蛍を見つけることができて良かったね」と一人の子どもに話すと、「うん、わたし5匹も見つけた!」と言うのです。「あれ?見つけたのは1匹だけだったはずなのに?」と思っていると、隣の子どもは「わたしは10匹も見つけた」と興奮して言うのです。どうやら子どもたちは、夜空に輝く星が蛍に見えたようなんです。確かに、星の小さな輝きと、夜空に飛び立った蛍の輝きはわたしの目にも同じように見えました。たった1匹の蛍が10匹に見える。これは神様からの子どもたちへのプレゼントだったのかもしれませんね。

ところで、聖書では「あなたがたはすべて光の子です」(第一テサロニケ5:5)と書かれてあります。子どもたちを光の子として大切に描いているのです。蛍のように小さな光かもしれません。でも、確かに、まわりにいる人たちを明るく照らしてくれます。では、わたしたちはどうでしょう。わたしたちも子どもたちと同じように、家族やまわりの人たちを明るくする光として輝きたいものです。

イエス・キリストは「わたしはすべての人を照らす真の光である」(ヨハネ1:9)と言われました。実は、この光の中に生きるとき、自然と光輝く人生に変えられていくと聖書は教えています。