園長便り

 平和を作り出す人は幸いです

米国の宗教家ジョセフ・マーフィーは「怒りや憎しみは心の毒です。毒にあたって苦しむのは、あなた自身です」と言いました。実際に、医学的にこれは事実のようで、怒りや憎しみは、脳内で「ノルアドレナリン」という非常に強力な毒素を作りだし、自分自身の体を蝕んでいくそうです。それに対し、喜びや感謝などポジティブなエネルギーは、免疫力を高めて、心も体も健康に保ってくれます。

レオナルド・ダ・ビンチが作品を作っていたときのことでした。アトリエのそばで遊ぶ少年の声がどうも気になって、作業に集中できないのです。だんだんといらいらしてきて、ダ・ビンチはついにその少年に「うるさい、あっちに行って遊べ」とどなり散らしたのです。あまりの剣幕にびっくりした子どもは、し~んとなってしまいました。これで、やっと落ち着いて作業に集中できる。そう思ったのですが、どうしたことでしょう。先ほどよりも、もっと集中できなくなってしまったのです。良いアイディアもぜんぜん浮かんできません。作業は完全に中断してしまいました。ダ・ビンチにはこの原因がわかっていました。彼はすぐに先ほどの少年のところへ行きました。そして、少年にこう言ったのです。「ぼく、さっきはどなったりしてごめんよ」と。すると、彼の心には平安が戻ってきて、作業は見違えるほど進んでいったのでした。

 聖書には、「平和を作り出す人たちは、幸いです」(マタイ5:9)と書かれてあります。「平和」、それは怒りや憎しみとは対極にある世界です。他者との関係において平和であるということは、また自分自身の心の平和にもつながっていきます。誰かを憎んで生きるより、平和を生きるほうが遥かに幸せなことです。そして、平和というのは積極的に作り出すものだと聖書は教えるのです。

 しかし、平和を作り出すことが難しいときがあります。そういうときは、「平和をください」と神様に祈ってみると良いと思います。神様は不思議な平和で心の中を満たしてくださることでしょう。