園長便り 2011-12

「与える喜び」

マイクロソフト社を創設したビル・ゲイツ氏は、50歳を越えた頃、突然第一線から退くと発表し、世界中を驚かせました。そして、今後は奥様が力を入れて来られた慈善事業を手伝い、それに集中すると言うのでした。私はこのニュースを聞いて、「すごい人だな~、きっと彼の人生は、ますます祝福されるに違いない」と、そう感じました。というのは、私はこの話を聞いて、ある人物のことを思い出したからです。

その人物とはジョン・D・ロックフェラー氏です。やはり、ビル・ゲイツと同じように大富豪でした。ところが、50歳を過ぎた頃、突如病気になり、余命1年と宣告されるのです。それで彼は考えるのです。自分はこれまで多くのお金をかせぐ喜びを経験してきた。また、多くのお金を蓄える喜びも経験してきた。しかし、それを与える喜びを経験して来なかったと。そこで、彼は残りの人生を慈善事業に没頭するのです。そして、当時のお金で500億円以上を寄付し、1937年にフロリダ州のオーモンド海岸で死去したとき、巨額の財産のごく僅かしか残っていなかったと言われます。

ところで、余命1年といわれた彼は、その後何年生きたと思いますか?なんと45年です。結局彼が亡くなったのは98歳でした。不思議だと思いませんか?どうして、こんなにも長生きをすることができたのでしょうか。それは与えることを通して、今まで味わったことのなかった幸せを知り、それが彼にとって生きる新たな力となっていったからではないかと思うのです。

 

聖書には次のような言葉が書かれてあります。「受けるよりは与える方が幸いである」(使徒言行録20:35)と。

おそらく、多くの人は与えるより受けるほうが、しかも、より多くを受けるほうが幸せになれると思っていることでしょう。しかし、受けることとはまったく質の違う喜びが、与えることの中には隠されているのです。聖書はそのことを私たちに教えているのです。

「だから何事でも人々からしてほしいと望むことは、人々にもそのとおりにせよ」(マタイ7:12)との園訓も、まさに与える喜びを知ってほしいと願ってのものです。自分のことだけを見つめる人生よりも、自分も人も一緒に幸せになれる人生のほうが、何倍も喜びに満ちた人生になることでしょう。