「子ども中心の保育とは」
園長:中村貫太郎
先日の発表会は雨の中でしたが、沢山の方にお越しいただきました。大勢の観客の前で発表するということは緊張を伴いますが、園児たちには良い体験となったようです。最後までやり遂げられたという経験も、これからの自信になってくれることでしょう。皆様のご協力に心より感謝いたします。
本園では発表会の演目のほとんどは、一斉保育の中できっかけ作りが始まります。一斉保育というと、教師が一方的に教え込むというイメージが強く、子どもの主体性が損なわれるという印象を持っている方もいるかもしれませんが、決してそうではありません。一斉保育の中でも、行動を自分で決めて選択していくという主体性が育まれる場面は沢山あります。また、集団での活動が基本となるので、同調することやルールを守るなどの社会性が育まれやすいといわれています。
ですが確かに現在の幼児教育では自尊心を高め、いきいきとした園生活を過ごせるようにと、子どもの主体的な活動を中心とした自由保育が主流になってきています。自分が興味を持ったことに集中して遊び込むことで、学びの根っことなる非認知能力が育ち、個性がのびる保育だといわれています。いずれも子どもの育ちには大切なことです。本園においてもこの二つの保育方法は混在しています。これらはどちらが優れているかを比較し、保育理論の正しさを証明するために存在するものではありません。
現代社会に目を向けてみると、パソコンが普及してインターネットも高速化したことで、個人でそれぞれの個性や能力を発揮して仕事をする人が増えています。その働き方を可能にしているのは、通信網を整備し維持している大企業に勤めている人たちです。会社という組織に属した大勢の人たちが協力することによってネットワークは維持されています。この二つの働き方は、どちらが優れているのか優劣をつけるものではありません。それぞれの置かれた状況や、自分の特性に応じて選択していくものではないでしょうか。
保育方法についても同じことがいえます。大切なのは子どもの最善の利益を考えて行なわれた保育であるかどうかなのです。