「子どもが怒る理由」
園長:中村貫太郎
お店で買い物をしている際に、親に向かって怒りながら大声で泣き叫ぶ幼児の姿を見ることがあります。特におもちゃコーナーや、お菓子コーナーでよくある光景ですが、これは子どもが怒りの感情をコントロールできないために起こります。
心理学的には人の感情は喜怒哀楽だけではなく、もっと沢山の感情があるといわれています。それらの感情は、基本となる第1次感情と、その第1次感情が複数混ざり合って生じる第2次感情に分類されます。怒りは「寂しい」「悲しい」「辛い」「痛い」「心配」「不安」「怖い」「苦しい」「恥ずかしい」「嫌い」などの第1次感情が心のタンクにたくさんたまって、それがあふれ出た時に生じる第2次感情になります。マイナスな気持ちが心のタンクの中で混ざり合い、自分でもよく分からない感情を語彙力の乏しい幼児が相手に伝えるのはとても難しいことです。そして伝える術がなく困っていることを「相手に理解してもらえない」ということなどをきっかけにして、怒りという感情が生じるといわれています。
例えば、友達の目の前で階段を踏み外して転げ落ちた時に、その様子を見ていた友達が、心配もせずに大笑いしていたらどのような感情が混ざり合うでしょうか。おそらく「怖い」「痛い」「恥ずかしい」「悲しい」という感情が混ざり合い、笑って馬鹿にしてくる友達に対して「怒り」という感情が生じるのではないでしょうか。
ですから怒りの感情をコントロールするために大切なポイントは、子どもが分かって欲しいと思っている第1次感情を見つけて言語化することです。子どもが伝えられなかった気持ちを言葉にして見つけてあげることで、相手への信頼感を高めます。これまで伝えられなかったマイナスの気持ちを否定することなく言葉にしてくれたことで、モヤモヤしていた気持ちもスッキリして、受け止めてもらえたという安心感と満足感を得ます。そしてその感情をどのように受け止めると気持ちが楽になるかを考えていくことで、子どもは怒りをコントロールする方法を学んでいきます。
問題行動に目を向けて反射的に叱りつけたり、見ないふりをして無視をするのではなく、心に目を向けて対話していくことが大切です。