園長便り2022-18

 「ネット・スマホのある時代の子育て」

園長:中村貫太郎

日本における国際通信は1871年に、デンマークの大北電信会社が長崎~上海、長崎~ウラジオストク間をつなぐ長距離海底電信ケーブルを敷設したことから始まりました。今年でなんと152年目になるそうです。当時の通信は、海底電信ケーブルから伝わってくる微弱な電気信号を受けた電磁石が針を動かし、モールス信号の波形を紙テープに記録し、その波形を解読して文字に置き換えていました。現在のメールのようなものですが、電信は電報局までしか届きませんでした。そこから先は人手を介して電報を配達するため時差がありました。ちなみに当時の国際電報料金は、欧文20語までが基本料金で26.5円(現在の水準に換算すると数十万円相当)で、たとえば「Nice to meet you」と4語を送るだけで基本料金の数十万円がかかるため、商社でも頻繁に使用できるものではなかったそうです。

(KDDIのホームページ参照)

現在では海底ケーブルが銅線から光ファイバーになり、容量が増えて通信速度も早くなったことから、安価に多くの人が利用することができるようになりました。さらにスマートフォンが普及したことで簡単にその恩恵を手元で受けることができるようになりました。LINEなどのアプリを使用すれば、海外にいる人たちと画面越しに顔を合わせて、ほとんど時差なく連絡をとることができます。世界中とつながることは当たり前になりました。

冒頭の時代から考えると、海外であろうと時差なく、タップひとつですぐに連絡ができるスマートフォンやネットの存在や技術の進歩はとてもありがたいものですが、使い方には気をつけなくてはいけません。注意すべきなのは単にネット上の誤った情報を信じてしまうことや、スマホ依存ということだけではありません。今、ニュースでも報道されている連続強盗事件は、ネット上で高額バイトと称して実行犯を募集し、黒幕は海外から指示をするという手口で、国際通信やスマートフォンを悪用することによって起きています。非常に残念な使い方で、先人の思いや努力をないがしろにする行為です。どのような思いで作られ、どのように活用されるべきなのかということも伝えていきたいものです。

今の園児達は「Z世代」ではなく「α世代」と呼ばれる世代だそうです。テキスト中心だったデジタルコンテンツが、動画や画像を含むコンテンツが主流になった時代に生まれ、幼少期からインターネットに触れていて、現実とオンラインコミュニティがつながっていると考える人が多く、アバターやメタバースに親和性が高い世代になるといわれています。仮想空間で世界中の人とつながって活動することが当たり前のようになるのかもしれません。保護者の皆様にはネットやスマホとの上手な付き合い方を示していただきますようお願いいたします。そのひとつのヒントとして、先週配布したリーフレット「ネット・スマホのある時代の子育て」を参考にしていただければと思います。

リーフレットはこちらからもご覧いただけます↓

「ネット・スマホのある時代の子育て」