園長便り2022-15

「言葉で伝える」

園長:中村貫太郎

 

先日は寒い中、発表会にご参加いただき、まことにありがとうございました。園児たちにとって、皆さまの前で演目を披露できたこと、そして拍手をいただけたことはこれからの成長への良い経験になったことでしょう。

さて、昨年も園便りでお伝えしたことではありますが、発表会で披露した演目は幼稚園で体験してきたことの延長線上にあります。器楽演奏はリトミックの音楽遊びから、合唱は朝の会や礼拝でうたう歌や讃美歌から、ダンスは毎朝のリズム体操から、劇は家族ごっこなどの見立て遊びから発展しています。その他にも並んで入退場することも、体操後に行進して前の人に付いていくという繰り返しがあるから可能になります。これまでに体験してきたことを発表することで、自分を表現することや、相手に分かるように言葉で伝えることを学ぶきっかけになればと思っています。

 

ある研究によれば、人間が意思伝達をする中で言葉が占める割合は、わずか7%にすぎないのだそうです。残る93%は相手の目の動きや、声の調子やボディーランゲージから情報を読み取っているということです。「目は口ほどにものを言う」ということわざがあるように、とくに目の動きから得る情報は多いそうです。

自動車の運転を例にあげると、運転者の姿が見えない状態では、相手が見えている時よりも車の動きを予測することは難しくなります。普段はあまり意識していませんが、実は私たちは自然と車本体の動きよりも運転者の顔の向きや目線を見て情報を得ていることが多いのです。

 

しかし、だからといって言葉が軽んじられて良いわけではありません。道を譲ったときに、相手がおじぎや手を上げるなどのジェスチャーをした時、私たちはそこから「ありがとう」という言葉を読み取ることができると思います。コミュニケーションの土台に言葉があるからこそ、ジェスチャーに意味が生まれるのです。意思伝達の割合はわずか7%でも、そこにはとても大切なものがあるのではないでしょうか。

聖書の言葉

「いつも、塩で味つけられた、やさしい言葉を使いなさい。」

コロサイ人への手紙4章6節