園長便り2022-09

 「目標を目指して走る」

園長:中村貫太郎

 

先週は全国高等学校野球選手権大会の決勝戦がおこなわれ、仙台育英が東北勢として初優勝を果たしました。「優勝旗が初めて白河の関を越えた」という記事の見出しに、18年前の駒大苫小牧が北海道勢として初優勝し、優勝旗が津軽海峡を越えてやって来た時に、北海道中が盛り上がった事を思い出しました。東北地方の人たちにとっても、大きな喜びになったことでしょう。

「宮城の皆さん、東北の皆さんおめでとうございます!」という須江監督の言葉で始まった優勝インタビューも、多くの人に感動を与えました。地域から応援される野球部を目指し「地域の皆さまと感動を分かち合う」を活動理念とした監督ならではの言葉でした。

監督のインタビューは「全ての高校生の努力の賜物」で活動に制限がある中でも、全国の高校生達が諦めずに本当に良くやったからこそ実現できた大会であったこと、そして「ただただ最後僕たちがここに立ったというだけなので、ぜひ全国の高校生に拍手をしてもらえたらなと思います」と参加した全ての高校生へ思いをはせる言葉で締めくくられました。

練習では「日本一からの招待」をスローガンに掲げ、日本一は勝ち取るものだけではなく招かれるものとし、日本一にふさわしい野球部となるために必要な取り組みをしていったそうです。その中には技術の向上だけでなく、地域ヘの奉仕活動も含まれていたそうです。

決勝戦の試合終了後に、選手達が応援団のいるスタンドに一斉に走り出す中、一人だけ相手チームに歩み寄り90度直角の最敬礼をする主将の姿が印象的でした。単なる形式としての一礼ではなく、戦ってくれた相手への感謝の思いを込めた一礼と受け取ることができる行動でした。スポーツや競技は同じ土俵で戦ってくれる相手がいなければ勝者にも敗者にもなれません。対戦相手への感謝を忘れない、まさに「日本一からの招待」を受けるにふさわしい行動でした。

 

自分が1番になる事だけを目標にしていると、1番でなくてはダメという思考になりやすいものです。そうなると手段を選ばず不正へ手を出してしまうこともあるでしょう。ですが、日本一から招待されるにふさわしい者となること、応援してくれる人と感動を分かち合うことを目標としているならば、道を踏み外す心配はなさそうです。

子どもたちが何を目標にして走り出すのかということはとても大事です。三育幼稚園では「神を愛し、人を愛する子どもになる」という目標をもっています。子どもたちの歩みが、神さまにあって幸せなものとなる事を願っています。