園長便り2022-02

「はじめの一歩」

園長:中村貫太郎

 

新学期が始まり一週間が過ぎました。新入園児たちも自分の荷物を置く場所や、活動の順番などを覚えて園生活にも少し慣れてきたようです。

朝のマルチエイジタイムに、ホールから「はじめの一歩!」というかけ声が聞こえてきました。数人の園児が「だるまさんがころんだ」をして遊んでいました。この遊びはかけ声に合わせて一歩を踏み出すところから始まりますが、その一歩がぴったりと横一列に揃う事はなかなかありません。体格的な違いだけでなく、子どもの参加する姿勢によっても一歩の幅が違ってきます。早く鬼に近づきたくて大股の一歩を踏み出す子もいれば、捕まりたくないので目立たないように小さく一歩を踏み出す子もいるという具合です。

同様に、今週から始まった朝の体操への取り組み方も様々です。頑張って教師のまねをして踊りを覚えようとしている姿もあれば、立ったまま微動だにせず周りの様子を観察していたり、やりたくないということで座り込んでいる姿もあります。体験する活動は一緒でも、感じ方や反応は千差万別です。一歩の歩幅が違うように、個性もそれぞれ違います。

詩人の金子みすゞさんが残した「私と小鳥と鈴と」という詩があります。

私が両手をひろげても、 
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、 
地面を速くは走れない。
私がからだをゆすっても、 
きれいな音はでないけど、
あの鳴る鈴は私のように、 
たくさんなうたは知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、 
みんなちがってみんないい。

 これはみんなできる事は違うから、それぞれに好きなことを好きなだけやればいいと言っているのではありません。それぞれに素晴らしい個性があり、役割が与えられていて、実はお互いが支え合っているということを言っているのではないでしょうか。

園児たちもお互いの違いを理解し、相手を受け入れつつ遊びを楽しむ。そのような関係を作るための、はじめの一歩を踏み出してもらいたいと思います。