園長便り2021-20

「てぶくろ」

園長:中村貫太郎

園児たちが好きな絵本の中に「てぶくろ」という作品があります。ロシアの代表的絵本作家であるエウゲーニー・M・ラチョフさんが描いた作品でウクライナの民話です。ラチョフさんはウクライナのキエフ美術大学でデザインを学んだ絵本作家です。

この絵本は世界的にも評価され、日本でもベストセラーの1冊として紹介されるほど親しまれている作品です。発表会で劇の題材になる事もあるので、皆さんもどこかでご覧になったことがあるのではないでしょうか。

 

森の中でおじいさんが落とした手袋の中にネズミが住み、そこへ森の中の動物たちが次々にやって来て仲間に入っていくという内容です。

 

手袋の中はどうなっているのだろうかなど、想像を膨らませながら見ることができる作品です。友達と色々想像し、協力しながらおうちごっこを楽しんでいる時の感覚に近いように思います。同時にこの作品は相手を受け入れるということを教えてくれています。

 

 

もう1冊「ぼくがラーメンたべてるとき」という絵本をご紹介します。長谷川義史さんという絵本作家の作品です。

「ぼくがラーメンたべてるとき、となりでミケ(猫)があくびした」という文から始まり、同じ時に隣の人は何をしていたかということをたどっていきます。隣の家から隣の町や国へとつながっていくと(おそらくアジアから中東に向かっていきます)同じ年頃の子どもが牛のお世話をしています。

 

またその隣の国では生活費を稼ぐためかパンを売っている女の子が描かれ、最後に出て来る国では廃墟のような場所で男の子がうつ伏せに倒れています。そして風が吹き、やがて砂嵐が倒れている子の姿をかくしてしまいます。その同じ時に、最初にラーメンを食べていた男の子の所でも風が吹いてお話が終わります。

世界の子どもたちの平和について考えさせられる作品です。

現在、多くの人がウクライナの情勢を心配し、注目しています。先日は幼稚園が砲撃されたというニュースも耳にしました。

 

2冊の絵本が示しているように、私たちは平和を創り出す方法を考え、知っているはずなのに、なぜこのようなことになるのでしょう。

それぞれに言い分があることは理解しますが、未来を担う子どもたちが犠牲になってよいという理由にはなりません。

キエフ近郊(写真提供ADRA)

 

本園では間もなく、年長児18名が卒園しようとしています。三育を離れても、幼稚園で暗唱した聖書の言葉を忘れずに、平和を創り出す者として成長することを心より願っています。

手を包んで温める手袋のように、人の心を包み温める者として歩んでもらいたいと思います。

 

 

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