園長便り2021-07

限界を設定する

園長:中村貫太郎

先日の運動会では、たくさんの応援をありがとうございました。暑い中でしたが、それぞれよく頑張ったのではないかと思います。これからも運動やスポーツを通して健康な体が作られていくことを願っています。

  

さて、スポーツといえばオリンピックの開催が間近となりました。またメジャーリーグでは、大谷翔平選手が日本人選手シーズン最多記録となる32号ホームランを放つなど、スポーツ界がだんだん活気づいてきたように感じます。

そのスポーツの世界では「限界に挑め!」「限界を超えろ!」などの限界突破をイメージさせるスローガンをよく目にします。確かに選手が力の限りを発揮しようとしている姿には感動させられるものがあります。しかし、幼児期のしつけにおいては「限界突破」ではなく「限界設定」が重要となります。

限界設定とは「テレビを見るのは1時間まで」や「片付ける時間になったら片付ける」など、行動の限界となる境界線(家庭でのルール)を設定し、それを守れるようにする作業です。子どもが自分で心をコントロールし、基本的な生活規範を身につけていくために必要な過程となります。

いきなりたくさん設定する必要はありませんが、両親で話し合って守るべきルールを設定して下さい。そして一度設定したら境界線はブラしてはいけません。これには家族全員の協力が必要です。「お父さんがまだ片付けなくていいって言った」とならないように注意しましょう。

また、守らせるために好きな物やご褒美で釣る方法をとることもお勧めしません。一度好きな物を買ってもらえることを学習すると、それがないと駄々をこねるようになります。これではものにコントロールされることになり、本来の目的からずれてしまいます。

優しく子どもの気持ちには寄り添いつつも、毅然とした態度でできる様になるまで繰り返していく必要があります。とても大変で根気のいる作業ですが、これをおろそかにすると、いつまで経っても子どもは自分のわがままをコントロールできる様にはなりません。

ものごとを学ぶ順番に「まず型に入り、型より出でよ」という言葉があるように、型には意味があります。今の時期は型(ルール)にどのような意味があるのかを理解できる様に話して、型に入り境界線を守る事ができるように接していただきたいと思います。