園長便り2020-16

同じ状況の中でも

園長:中村貫太郎

新しい年となり、幼稚園でも3学期が始まりました。岩見沢では記録的な大雪となっていますが、皆様いかがお過ごしでしたでしょうか。幼稚園の雪は例年と比較すると少なく、除雪機を稼働させたのも3回程度です。園庭の雪山も芝生の部分に積もった雪を集めても、まだ1m程の高さにしかなっていません。園児が雪遊びを始めるまでには、そり滑りを楽しめる雪山になる事を願っています。

さて、除雪機を3回目に稼働させた時のことです。園庭の除雪を終えた後、そのまま付近の歩道も除雪をしていると、玄関前にさしかかったところで、突然「ガキン!」という音がして除雪機のオーガ(刃の部分)が動かなくなりました。エンジンを止め、オーガの中に詰まった雪を取り除いていくと、奥の方にライター補充用のガスボンベが挟まっていました。刃にボンベが突き刺さったため、無理な力がかかり、ボルトも折れていました。おかげで修理にとても時間がかかってしまいました。

雪は全てを真っ白に覆い、美しい景色を見せてくれますが、時にはこのように隠れて不法に投棄された物が出てきて、残念な気持ちになることがあります。「誰にも見られていなければ、雪が隠してくれるから捨てても大丈夫だろう」という思いは、「分別して捨てるのが面倒くさい」「用がなくなったものを持ち歩くことが面倒くさい」といった自分の都合が優先される事で起こるのではないでしょうか。

しかし、誰にも見られていなくても、幼稚園の玄関前の道路を除雪して下さる方がいます。職員が不在の日曜日などに雪が積もると、翌日にはきれいに除雪されているのです。大変助かりますし、感謝の気持ちでいっぱいになります。園児や歩行者のことを思って下さるからこその行動なのではないかと思います。

「誰にも見られていない」という状況は同じでも、どのような思いを持つかによって、前者と後者のように行動には大きな違いが生じます。子どもたちには、後者の思いをもって成長してほしいものですね。

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世界で最も欠乏しているのは人物である。それは売買されない人、魂の奥底から真実で、正直な人、罪を罪とよぶのに恐れない人、磁石の針が南北を指示して変わらないように、良心が義務に忠実な人、天が落ちかかろうとも正しいことのために立つ人、そういう人である。しかし、こういう品性は偶然にでき上がるものではない。それはまた神の特別な恩恵や天分によるものでもない。高潔な品性は自己修練の結果である。それは肉欲を精神に従わせること、すなわち、神と人とに対する愛の奉仕のために自我を克服することによって達せられる。

エレン・G・ホワイト