園長便り2020-07

お互いを生かす

園長:中村貫太郎

年長のサッカー教室が、今月でようやく3回目を迎えました。前半はコーチと遊びながらボールのコントロールを教わり、後半は2チームに分かれて試合をしています。みんな楽しそうに参加していますが、ボールへの関わり方はふたつのタイプに分かれていました。

ひとつ目はボールの一点に集中する園児です。とても積極的に関わるのですが、ボールを取ることにだけ集中しているので周りが見えず、味方同士でもボールを取り合うのでなかなかゴールに進めないといった姿が見られました。

ふたつ目は、遠巻きにボールが転がる方向へなんとなくついて行く園児です。自分の目の前にボールが転がってくると蹴り返しますが、あまり自分からボールを取りには行くことはありませんでした。周りはよく見えているのですが、その他の状況変化にも気付きやすいため、園庭にチョウチョウが飛んでくると、そちらに向かって走っていくといった姿も見られました。

園児の試合を観察していると未熟な部分がよく分かりますが、それと同時にこれからの成長がとても楽しみになります。そして改めてプロの試合を見ると、いろいろな能力が使われていることに気付かされます。瞬時に敵味方を識別する力、ボールをコントロールする力、状況を見て判断する力、戦術を理解し記憶する力など、本当に様々な能力が駆使されています。この個々に磨き上げた能力は、チーム内でお互いに理解をして共有する事で最大限に発揮されていきます。サッカーは11人対1人のスポーツではありません。ゴールするという目的のために、お互いが得意とするプレーを生かしてコンビネーションなどを試行錯誤していくからこそ、多くの人の心をわくわくさせるスーパープレーが生まれるのだと思います。

園児達のサッカーはまだ自分のことで精一杯ですが、いずれは味方がいることの意味を理解し、パスを出せるようになり、友達と協力してゴールをする体験ができると良いなと思います。そして将来的には人との繋がりにおいても、お互いを生かし合う人物へと成長することを願っています。