園長便り2017-13

わたくしの父はシングルファーザー

 園長 平田泰三

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札幌で初雪が観測されました。本格的な雪の時期はもう少し先なのかもしれませんが、短い北海道の秋が終わり、雪の時期に入っていくのでしょう。イチョウ並木のきれいな黄色に元気がもらえる季節です。

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「自律(自分で考えて、判断し、行動できる力)」というテーマを考えます。人生において「自律」することは大切であり、自律の本質は「よい選択をする」ということです。自律の第一ステップとして「甘え(依存)」の大切さを少し考えました。人はその大切な土台を最初の人間関係の「親子関係」において築くものです。土台になるのは「安心感」であり、それは自分や他者のことを「大切に思えること(自尊心)」を築くことから得られるものと言えるでしょう。それが「良き判断(選択)」の土台となるのです。そのような意味で、特に幼児期は「良好な親子関係を築くこと」にとても適しており、重要なものです。しかし現実その親子関係(環境)が理想とはいえない状況もあるのです。他でもなく、わたくし自身が理想から言えば、それから遠い環境で育ったといえるかもしません。わたくしの父は、いわば「シングルファーザー」でした。わたくしが小学校5年の時、病気で母親が亡くなりますが、その後、男手一つでわたくしと兄を育ててくれました。父はすでに他界しておりますが、中学~高校と毎日お弁当を作ってくれました。今思うととても有難いことですが、当時、わたくしは、思春期特有の反抗期、父親には文句ばかりを言い、随分失礼な態度をとっていたと思います。「子をもって知る親の恩」「孝行したいときには親はなし」をつくづく思います。自分自身をふり返って、人間的には不十分な環境、理想とはいえない関係を補うものがあり、それは「神様の愛」であったと思うのです。

「わたしはこう祈ります。知る力と見抜く力とを身に着けて、あなたがたの愛がますます豊かになり、本当に重要なことを見分けられる(選択できる)ように」(新約聖書フィリピの信徒への手紙1章9節)