園長便り

いつまでも残るもの

園長:村沢秀和

今年度最後の園通信となります。また、わたしにとっては、札幌三育幼稚園の園長としての最後の園通信ともなります。というのも、5年間お世話になった札幌の地を離れて、兵庫県神戸市のほうに、この度転勤することになったからです。あっという間の5年間で、園長として至らないことばかりでしたが、皆さまには本当にお世話になり感謝しております。

思い起こせば、2011年、東日本大震災のただなかにあって、長野から札幌にやってきました。引越しの荷物がいつ届くのかもわからないような状況の中で(実際に届いたのは1カ月半後)、入園式の朝を迎えたのが、つい昨日のことのように思い出されます。この5年間、たくさんの園児たちの成長を見守ってくることができ、本当にうれしく思っています。大きな事故や怪我もなく守られてきたことも感謝なことでした。後任の園長には平田泰三先生が就任いたします。牧師であり、かつ幼稚園・小学校教師の資格も持っておられるマルチな才能をお持ちの優しい先生です。

さて、聖書の中に次のような言葉が書かれています。

「それゆえ、信仰と、希望と、愛、この三つは、いつまでも残る」第一コリント13:13

この世の形あるものは、すべていつかは無くなります。しかし、信仰と希望と愛だけは、いつまでも無くならないと聖書は言います。無くなっていくものに、しがみつくように生きているより、無くならないものをしっかり握りしめて生きるほうが遥かに素晴らしいことではないでしょうか。

子どもたちはシャボン玉が大好きです。ストローの先からたくさんのシャボン玉が飛び出すと、風にのって空高く舞い上がっていきます。太陽の光にあたると美しくキラキラと輝きます。でもシャボン玉はすぐにぱちんと壊れて消えてしまいます。もろく、はかないのです。私たちの人生も、このシャボン玉と似ているかもしれません。私たちはいつまでもこの幸せが消えないで欲しいと願います。しかし時というのは容赦なく過ぎてゆき、シャボン玉がパチンと壊れて消えるように、多くの物が消えていきます。そして、やがて私たちの存在までも、消えていくのです。そのように考えると、少し寂しい気がします。でも、決して消えないものもあるのです。いつまでも残るものがあるのです。信仰と希望と愛です。これはすべて優しい神様から溢れてくるものです。三育幼稚園で子どもたちに、このいつまでも残るものを知ってもらいたいと願っています。それは人生の最後まで宝物のように輝き、その人を支える力となると信じるからです。