園長便り

 コートハウスドックを知っていますか?

園長:村沢秀和

 コートハウスドックを知っていますか?日本語で裁判所犬。アメリカの裁判所には、証人に寄り添い、心のケアをする犬がいるそうです。裁判では被害者が証言しなくてはならないことがあります。裁判所で扱う事件は暴力的であったり、虐待だったりと様々なつらいことが多く、精神的にも公の場で証言するのは、とてもつらいことが少なくありません。心に負った傷を、再燃させてしまう可能性もあります。そこでアメリカの裁判所では、精神的なトラウマを軽減させるために、コートハウスドッグ(裁判所犬)制度があるのです。コートハウスドッグが証人に寄り添い、心のケアをします。犬には、人の心を落ち着かせる不思議な力がありますが、それを利用するわけです。実際に、なかなか証言出来なかった子供にコートハウスドックが寄り添ったとき、子供がそのコートハウスドックを撫でているうちに、心安らいでいき、証言することができるようになったというようなケースがいろいろあるそうです。

コートハウスドッグは、生後二か月目から約一年半以上に渡り、しっかりとした訓練を受けます。さまざまな人たちの感情的動揺にもうろたえることがないよう、さまざまなシチュエーションを練習します。そして、証人の横に寄り添い続け、いつでも証人が撫でることができる距離にじっとしていられるように訓練されます。これだけでも、証言者たちの心は、とても癒されるのです。そばにいつも寄り添ってくれる存在があると、人はそれだけでどれほど勇気づけられことでしょう。それが犬であっても、力が与えられるのです。

ところで、子どもにいつも寄り添ってあげることができるのは親だけです。子どもは温もりを感じ、愛されていることがわかり、安心して成長していくことができます。もし、子どもが甘えてくるようなときは、どんなに忙しくても、一度手を止めて、ギュッと抱きしめてあげると良いでしょう。しかし、甘えてくる子どもを「忙しいからあっちに行ってなさい」と跳ね返してしまうなら、自分は愛されてないと心の傷となって、自分に自信のない子どもとなってしまうかもしれません。

では、親自身はどうでしょう。子どものように甘えることができない親に、誰が寄り添ってくれるのでしょうか。たとえば、夫婦がお互い寄り添い、支え合えるなら素晴らしい夫婦、素晴らしい家族を築き上げていくことができることでしょう。しかし夫婦でも寄り添い合うのが難しいときもあります。そのようなときは、神様が寄り添ってくれます。神様は私たちにこう言われます。

「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる。」マタイ28:20