園長便り

険しい道をあえて選ぶ

園長:村沢秀和

芸術家の故岡本太郎さんは、『私は、人生の岐路に立った時、いつも困難なほうの道を選んできた』と言っていました。そして、『危険だと言う道は、必ず自分の行きたい道なのだ』とも言っていました。わたしたちは、ある選択を迫られたとき、あるいは人生の岐路に立ったとき、楽な方を選びたいと思うものです。しかし、あえて険しい道を行くということも人生においては大切なことです。

 

「若い時の苦労は買ってでもせよ」ということわざがあります。これは多くの人生経験から生まれた言葉です。若いときの苦労はその後の人生に必ず役立ちます。社会に出てから大きな問題にぶつかったとしても、それを乗り越える大きな力となっていくからです。しかし、逆に若いときに苦労をしない人は、何か大きな問題にぶつかったとき、すぐにつぶされてしまうものです。だから、苦労は買ってでもしろというわけです。

 

また、良かれと思った安全な道、楽な道が、必ずしも思った通りの良い結果をもたらさないことも少なくありません。ある登山家が「山登りにおいて、標識のない分かれ道に出くわすことがある。そのとき、ついつい楽そうに見える道に進んでいきたくなるけれども、結果的に楽そうに見えた道のほうが後からきつくなったり、遠回りだったりということが少なくない。あえて険しい道を進んだ方が良い結果になることが多い。また、困難に見える道は、困難に見えているだけで、別に、登ってしまえば、なんてことはない」と語っていました。

 

例えば、侍が刀を振り落されたとき、背中を向けてそこから逃げるのではなく、実は思い切って相手の顔に踏み込んだ方が、斬られなくて済むということがあるそうです。逃げたら、刀の間合いにちょうど入ってしまい、ズバッと斬られてしまうけれども、逆に勇気を持って飛び込めば、間合いが狭すぎて刀をふり降ろせなくなるわけです。

セブン&アイ・ホールディングス代表取締役会長兼CEOの、鈴木敏文さんはこう言っています。「人間は自分が思いつかないことには反対します。一方、私は人が思いつかないことには、それだけ価値があると考える。実行すれば、差別化が生まれ、結果として成功に至ります。」成功者の多くが、多くの困難を乗り越えてきています。言葉を変えるなら、その数々の苦労が成功へと導いたわけです。聖書にも次のように書かれています。

 

「狭い門から入りなさい。滅びに通じる門は広く、その道も広々として、そこから入る者が多い。しかし、命に通じる門はなんと狭く、その道も細いことか。それを見いだす者は少ない。」

マタイ7:13、14