園長便り

 どうしたら人を許せるのか

園長:村沢秀和

人を憎んだり、赦せなかったりすると、その苦々しい思いは、その人の心の中に深く根を下ろし、その人の心を支配することがあります。

憎しみや赦せないという思いに一度捕えられてしまうと、自分ではなかなかどうすることもできず、そのマイナスのエネルギーは、やがてわたしたちの心も体もむしばんでいきます。

たった一度の大切な人生が、そのようなマイナスのエネルギーに支配されてしまうことがあるとするならば、これは本当に辛いことだし、大切な人生という時間の損失だと思います。では、どうしたら人を許せるようになるのでしょうか。

あるカウンセラーは、人は感謝することで、許せるようになると教えます。このカウンセラーは、あるとき50代の女性から相談を受けました。彼女は「50年間、許せない人がいる」というのです。50代の方が「50年間許せない相手」は、親しかありません。この方は、「どうしても父親を許す気持ちになれない。この恨みや憎しみ、つらい気持ちを取り去る方法はないでしょうか」と悩んでいたのです。

また、「自分の心をキレイにしたい」と思い、さまざまな勉強会に参加し、あらゆる先生の話を聞いたそうですが、それでも許せるようにはならなかったそうです。そこで、カウンセラーは聞いてみました。

 「どうしても許すことができないのですね」

「許せません」

「では、好きになることなんて、できませんね」

「絶対に好きになれません」

「絶対に好きになれないのですね。では、一つうかがいます。『感謝』することはできますか?」

彼女は10秒くらい黙っていましたが、その後、涙を流し出したのです。

そして、「感謝することはできます」と言われたのでした。人間は、50年間許すことができない相手でも、「感謝することができる」ことがあるのです。

このカウンセラーはこう言います。「嫌いな人、許せない人、好きになれない人がいて、その感情を自分で抑えることができないのなら、許す必要はありません。好きにならなくてもいい。でも、感謝することはできるかと考えてみてください。許せない人でも、3年間、感謝し続けたら、許せるようになるかもしれません。6年間感謝し続けたら、好きになれるかもしれません。9年間、感謝し続けたら、尊敬できるかもしれません」。

許せない人であっても、その人のおかげで人間的に成長できたということもあるものです。感謝を言葉にするならば、確かに不思議な心の変化があるかもしれません。試してみる価値がありそうです。

もうすぐクリスマスです。イエス・キリストはすべての人の罪を許す救い主として地上に来られました。