泥を見るか、星を見るか

園長 村沢秀和

夫と共に、モハーヴェ砂漠でキャンプをして過ごしていた女性がいました。彼女は正直に言うと、その場所が嫌で仕方がありませんでした。砂漠の暑さは耐えがたく、日陰でも摂氏50℃にもなります。熱風が絶え間なく吹き、そこら中は砂だらけでした。彼女はついに耐えきれなくなり、オハイオ州に住む両親に、もう耐えられないから家に帰りたいと手紙を書いたのでした。

すると、彼女の父親からすぐに航空便で手紙が届きました。ところが、その手紙にはわずか二行の短い文章が書いてあるだけでした。

「二人の男が鉄格子から外を見た。一人は泥を見て、もう一人は星を見た。」

彼女はこの短い文章に驚きつつも、その文章に釘づけになりました。同じ鉄格子の中にいても、下をうつむき泥ばかり見ている毎日と、上を見上げ星を見る毎日とではどれほど違うことでしょう。彼女ははっとさせられました。自分はまさに毎日泥ばかり見ていたのだと気が付かされたのです。つまり、彼女はいつも砂漠の悪い面ばかりを見ていたことに気が付かされたのです。

同じ環境に置かされても、何をいつも見つめているかで状況は大きく変わってきます

彼女はもっと良い面に目を向けようと決心しました。そして、近所の人と友達になっていきました。すると、どうでしょう。次第にその場所が好きになってきて、やがてその土地のことを本に書くまでに変えられていたのです。砂漠は何も変わってはいません。過酷な状況も変わっていません。しかし彼女の心の中や考え方が変わったのです。

 

さて、わたしたちはいつも何を見つめているでしょうか。悪い側面ばかりを見つめていると、不平、不満ばかりが口から出てくるようになります。それは自分自身の人生をつまらなくさせるだけでなく、周りの人も巻き込んでいきます。しかし、逆に物事の良い面を見つめ感謝するなら、心は明るく、イキイキしてくることでしょう。

 

聖書のみ言葉を一つご紹介しましょう。

「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい。これこそ、キリスト・イエスにおいて、神があなたがたに望んでおられることです」

テサロニケの信徒への手紙一5:16~18