あなたのことを知ってる
園長:村沢秀和
園児たちが楽しそうにお弁当を食べているところに顔を出すと、園児たちはきまってこう言います。「園長先生、見て!」。何を見るのかというと、もちろん自分たちのお弁当です。おうちの人が作ってくれたお弁当すごいでしょう!?というわけです。そこで「わあ、おいしそうだね」と言うと、とても満足そうな笑みをこぼします。お弁当を褒めてもらうことで、おうちの人が褒めてもらったような気持ちになって、自分もうれしくなるのでしょう。
また、絵を描いたり、折り紙を折ったりすると、それを誇らしげに見せに来る園児がいます。「うまく描けたね。絵が上手だね」と褒めてあげると、満面の笑みになります。さらに、お当番がまわってくると、お当番バッチを指さして「ほら」と見せる園児もいます。「今日はお当番なんだね。がんばってよ」と言うと、真剣な顔で「うん」と頷きます。
自分のことを知ってもらいたい。見てもらいたい。そして褒めてもらいたい。励ましてもらいたい。そういう気持ちが子どもたちの中にはたくさんあるようです。
わたしたち大人もそうかもしれません。自分のことを理解してもらえたら、どんなにうれしいことでしょう。また、褒めてもらえたり、励ましてもらえたりしたならば、どんなに勇気づけられることでしょう。人間は生まれてから死ぬまで、互いに支え合わなければ生きることができない存在なのです。
ある葬儀屋さんで、会社の基本理念を詩に表わしていました。とても感動的な詩なのでご紹介します。
わたしはあなたを知っている
わたしはあなたを育てた人を知っている
わたしはあなたが好きだった花を知っている
わたしはあなたが幼い頃の微笑ましい失敗を知っている
わたしはわたしがあなたを知ったように
あなたもわたしを知ったことを知っている
別れの言葉も交わさず、あなたが逝ってしまったとしても、わたしたちはあなたを思い出し、語り合い、語り継ぐ
そして、あなたを語るものが誰もいなくなったとき、
わたしたちはあなたのそばにいる
わたしたちはあなたの送り部であり
わたしたちはわたしたちの送り部なのだ
この詩を読んだとき、「わたし」という言葉を「イエス様」に置き換えることができると思いました。イエス様は私たちのことを知っておられます。わたしたちの悲しみも喜びも、髪の毛の数まですべて知っていると言われます。そして、こう続けられました。
「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」マタイ28:20