園長便り

良心の芽生え

園長:村沢秀和

子どもは家庭や学校(幼稚園)、地域社会の中で、道徳基準を学習し、それに従って成長していきます。一般に良心が芽生え始めるのは5、6歳頃からと言われています。ですから、この年齢の子どもには、正しいことと悪いことを見分ける力を育んであげることがとても大切になってきます。子どもがどのような道徳、倫理観を獲得するかは、その子を取り巻くいろいろな環境が大きく影響していきますが、その中でも最も大きな力を持ち、また最終責任を持つのは、やはり親です。

「子どもの自尊心」(ドロシー・ゴーカイル・ブリッグズ著)という本の中に次のような言葉があります。

「私たち親の多くは、子どもたちが善悪を正しく判別し、正直で思慮深く、思いやりのある人間になることを願っています。社会生活を営む上で、こうした資質が大切であると確信しているからです。ところが、良心が形作られるのが5、6歳くらいからであることを知っている人はほとんどいません。この年代の子どもはまだ善悪の判別力を十分に身に着けていません。だから、大人たちの外からの援助が不可欠なのです。しかし、口であれこれ教えるよりも、実際に行動で示してやるほうがはるかに重要です。親たちが他の人に対して親切で、思いやりをもち、誠実であ るならば、子どもたちはそれを見習うようになるでしょう」

つまり、正しいことと間違っていること、良いことと悪いことの識別力は、言葉で教えられるだけでなく、親自らが生活の中で示していくことが大切なのだとこの著者は言っているわけです。なかなか耳の痛い言葉です。自分は親として、果たして子どもたちに正しい良心を教えることができているのだろうか。自分自信が子どもの良い模範になっているのだろうか。いや、そもそも自分は正しい良心というものを持っているのだろうか。善悪の正しい見極めができているのだろうか。そのようなことを考え始めると、自信がなくなってしまうという人もいるかもしれません。善悪を判断する指針が必要なのだと思います。

世界のベストセラーである聖書は、世界で最も多く読まれている良心の指針となる書物でありましょう。機会があればぜひ読んでみて下さい。そこには善とは何か、悪とは何かが明確に書かれてあります。クリスチャンである母が、わたしが子どもの頃繰り返し言っていた言葉があります。それは「友達のいない子の友達になってあげなさい」という言葉でした。何度も言われているうちに、そうすることは正しいことなのだと思うようになっていきました。「友達のいない子の友達になってあげなさい」、今思えば、これは母なりに聖書から学んだ大切な教訓だったのでしょう。