園長便り2023-04

「幼児の主体的な活動とは」

園長:中村貫太郎

 

2018年に幼稚園教育要領が改訂されてから「子ども主体の保育」が注目されるようになり、最近の保育現場でも「子どもの主体性を尊重することが重要だ」ということを強調されることが多くなりました。教育要領には「幼児が身近な環境に主体的に関わり・・・」「幼児の主体的な活動を促し・・・」という表現が使われていますが、では主体的な活動とはどのようなことなのでしょう。

 

広辞苑によれば主体的とは「ある活動や思考などをなす時、その主体となって働きかけるさま。他のものによって導かれるのでなく、自己の純粋な立場において行うさま」と解説されています。ですので、「幼児の主体的な活動」とは、自分の意思や判断(選択)によって行動することだといえます。ただ単に自分の欲求のままに行動することは意味しません。子どもがやりたいことを好きなように好きなだけやらせるということではなく、自分で考え選択していくということが含まれています。また、「他のものによって導かれるのでなく」とあるように、判断を求められる場面で、親や教師に言われた通りにしか行動できない状態も主体的とはいえません。

幼稚園は親から離れ、自分で考え、選択し、環境や遊びを通して学ぶ場所です。特に園庭での自由活動は選択する機会が多く、子ども同士が関わりを持つための良い訓練の場です。自分で考えたアイデアを実行し、成功や失敗を経験していくことが大切です。自分だけではなく一緒に遊ぶ友達にも主体性があるように、どちらか一方の考えを押しつけるだけでは、人と人は繋がることはできません。それぞれの主体性を発揮しながらも、お互いを尊重し合える関係が紡がれていくことを願っています。