園長便り2018-05

「一番病」に気をつける

 園長:平田泰三

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先日は、親子遠足ご参加有難うございました。

保護者の皆様と一緒の子どもたちの顔はうれしさで輝いていましたね。また、オプションで円山登山をしたグループ、途中はやはりきつかったですが、頂上に着いて、美しい景色を見た時の達成感はすばらしいものでした。

さて、最近、テレビをつければ、某大学の体育会系クラブで起きた不祥事事件が報道されています。20年前ですが、わたくしは関西学院大学のすぐそばに住んでいたことがありますので、その出来事は身近なものに感じています。あるコメンテーターがその問題の根本に「誤った勝利至上主義がある」と評していて、考えさせられました。今回の出来事に限らず、世の中が深刻な「一番病」にかかっているように思います。聖書はNO1でなく「Only one」を生きることをすすめています。(旧約聖書イザヤ書43章4-8節)

某大学の体育会系クラブで起きた事件、競争原理が昂じてしまった結果ではなかったでしょうか。将来、子どもたちは、競争社会を生き残っていかなければならない現実がありますが、競争しなくても「勝利」できる秘訣が聖書に記されています。実は「強いものだけが残る」「弱肉強食」は誤解であり、生き残っているものは「環境に適応したもの」なのです。

次のような言葉があります。「これらのことを話したのは、あなたがたがわたし(キリスト)によって平和を得るためである。あなたがたは世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている」(ヨハネ福音書16章33節)この箇所を英語で見ると「勝利」と訳されることばに「Overcome」が使われています。これは確かに「勝利」でもありますが「克服」「包み込む」の意味が強いものです。格闘技のように「相手を打ち負かして勝つ」という時は「defeat」が使われます。「勝利」の質が異なります。誠の勝利は「包み込むこと:受け入れること、引き受けること」というのです。本当の競争相手とは「他者」ではなく、「自己」「自分」ということではないでしょうか。