園長便り2017-03

二度と叩いてはいけないと心に誓った日

 

 園長:平田泰三

連休はいかがお過ごしでしたか。ゆっくり休めた方、そうでなかった方、色々だと思います。お疲れ様でした。連休明け、子どもたちの元気な声が戻ってきました。園では本格的な日常の保育が始まります。

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しばらく、自分の子育てを振り返って綴っています。今回は自分の心苦しい経験についてです。本当に申し訳なかったのですが、一度だけ長女を叩いてしまったことがあります。大学卒業後、3年間勤めた病院を一旦辞して勉強のため、学生に戻った時期があります。20年前、長女が3歳になる年でした。家族を抱えての学生生活は想像を超えて大変で、授業の合間に働き、夜は家庭教師のアルバイト、子育てもしながら、奨学金は支給されたものの経済的には苦しい時期でした。ある時、長女が熱を出し、ぐずぐず泣き止まない時がありました。今ではどうってことない事なのですが、その時は、かなり煮詰まっていました。病院での診察を受けた後、車に乗せたのですが、どうしても泣きやまず、むせてしまって苦しむ姿に、

本当は娘の背中をさすりたかったのですが、その意に反して、思わず「いい加減に泣き止め!!」と怒鳴り、背中を強く叩いてしまったのです。娘はパニックになり、余計にムセがひどくなると同時に、彼女の鼻から一筋、血が流れたのでした。その血を見た時、はっと我に返りました。「なんてひどいことをしてしまったのだ、なんて、ひどい親なんだ」、と深い自己嫌悪にさいなまれました。やがて、泣きながら眠ってしまった子の顔を見つめながら、「ごめんね、ごめんね」と何度もあやまりました。そして、「二度と子どもを叩かない」と心に決めたのでした。20年の時を経て、長女には、改めてその時のことをあやまる機会があったのですが、「大丈夫、全然覚えていない。」と言ってはくれましたが、わたくし自身にとっては辛い出来事でした。大学では教育を専攻し、少しばかりは知識はあったものの、子育ては初めて「教科書どおり」には行かないもの、それを痛感した経験でした。